メタン発酵(嫌気性処理)・管理の要点、ポイント、コツ等(PAGE‐5)


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 7、UASB、EGSBの要点、ポイント
   7-2、原水の均等分散導入の重要性

   7-4、三相分離セットラーのポイント
   7-5、EGSBの長所、短所
   7-6、UASB、EGSBの運転管理について

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7、UASB、EGSBの要点、ポイント

7-2、原水の均等分散導入の重要性


 先にも述べましたように、グラニュールはMethanosaetaを中心とるするメタン菌が上
昇液流、発生ガスによって適度の流動化を与えられる時、糸状菌が糸玉を形成しま
す。したがって原水の導入はメタン発酵槽の底面の全面に均一に行われなければな
りません。

 

 グラニュール型メタン発酵槽ではコンベンショナルなメタン発酵槽のように、撹拌機を
有していません(機械的撹拌では剪断力が強すぎて、グラニュールを壊す)。そのた
め、この原水の均等分散導入ということは一層重要な意味を持ちます。原水が均等に
分散されなければ菌のグラニュール化どころか、原水とメタン菌の接触も生じないわけ
で、実際上運転不可能に陥りかねません。

 したがって、この原水の均等分散導入ということについては、メーカー各社も工夫を
こらしています。運転開始初期の原水分散性について配慮されてない例はありません

が、運転開始数年後のノズル閉塞対策や、負荷変動に対しても、安定して均等分散
が保証されるようなシステムになっているかどうかということになると首をかしげるケー
スも少なくありません。

 メタン発酵が不調になると現場の運転管理が適正であったかどうかということが問
題になりがちですが、これはどちらかというと設計の問題でしょう。 設計上の問題
か、管理上の問題かは別として、グラニュール型のメタン発酵槽では原水の均等分散
導入ということが「生きるか死ぬか」というぐらい重要なポイントなのです。(ちょっと大
げさかな?) しかしこのことはやや盲点のようなポイントで、設計者にも管理者にも
見過ごされやすいようなのであえて大げさな表現をしました。


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7-4、三相分離セットラーのポイント

 グラニュール型メタン発酵槽の上部にはガスとグラニュールと処理水を分離するセッ
トラーが設置されています。これもメーカ各社のノーハウに属する部分が多く、詳しくは
触れられませんが、基本的に下図のような構造をしています。


      
                     UASBセットラー.JPG
    


 セットラーの役割は液、ガス、グラニュールの分離ですが、ここではグラニュールがセ
ットラーの表面を転がる効果によってメタン菌のグラニュール化を促進するような構造
のものもあります。

 セットラーも各社工夫をこらしていますので3相分離の目的が達成できないようなも
のはありませんが、長期には問題を起こすこともあります。

 1つには腐食の問題です。メタン発酵槽が完全密閉タイプでないときは、処理水オー
バーフロー表面でH2Sが酸化されてH2SO4(硫酸)を生じます。このためセットラーの
材質によっては腐食が進行して、機能面に影響が出ることがあります。爆発性ガスが
発生している場所でもあり、補修は難工事になります。

 2つ目は汚泥付着の問題であります。グラニュール菌は疎水性の材料の表面に付
着する性質を示すこともあります。ひどくなると水の通り道をふさぎ、短絡流が生じて、
セットラーとして機能しなくなることがあります。したがってセットラーの設計に当たって
は汚泥が付着しにくい構造にすると同時に、少々汚泥が付着しても水の通り道をふさ
いでしまうようなデリケートな設計は避けるべきでしょう。

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7-5、EGSBの長所、短所

  
EGSB(Expanded Granular Sludge Bed)は最近はビール排水に多く適用されている
ようですが、基本的にUASBと原理は変りません。UASBはグラニュールベッドの上
部に積極的に非凝集性のメタン菌の層を保持しグラニュール菌と非凝集性メタン菌と
の協業を意図していましたが、EGSBでは非凝集性のメタン菌および原水起因のSS
を積極的にウオッシュアウトさせ、グラニュール菌のみを選択培養するよう意図したリ
アクターです。そのために液上昇流速、ガス上昇流速をUASBの3~5倍に取りま
す。

 EGSBの利点は容積当たりのCODcr負荷を高く(UASBの倍程度)取れることで
す。またUASBでは原水中のSSを400
~500mg/l以下ぐらいに制限していますが、
EGSBでは1000mg/lぐらいまで許されると言われます。

 それでは、EGSBはUASBにくらべ良いことづくめかというと、必ずしもそうではあり
ません。相当大きな液上昇速度とガス上昇速度で運転することを前提にしていますの
で、運転開始初期にはグラニュールがなかなか増えません。むしろ減少し続ける例も
すくなくありません。そのために何度も種菌の補充をしなければならないことも稀では
ありません。また立ち上げ後もある程度高負荷に保たないと液上昇速度とガス上昇速
度を保てません。すなわち負荷変動が大きいとそのたびに液上昇速度やガス上昇速
度が大きく変動し、発酵槽の状態が不安定になります。また長期の低負荷運転はグラ
ニュールそのものをEGSB向きでなくしてしまいますので、再度の負荷上昇は試運転
時のような時間と慎重さを要することになります。

 要するに負荷変動の大きい廃水の場合はEGSBは勧められません。 負荷変動の
ない廃水は実際上ありませんので、実例を見ても設計負荷通りの運転をしているEG
SBは稀です。一方UASBはグラニュール菌と非凝集性のメタン菌の両方に頼ってい
るせいもあり。負荷変動などには比較的鈍感です。設計負荷以上の運転をしている事
例も少なくありません。

 UASBも、EGSBも数多く見てきた実感から言うと、それぞれの能力は設計値ほど大
きな差はないという感じです。

 排水量も多く負荷変動が少ない場合はEGSBがお勧めですが、普通の廃水処理目
的ならUASBを勧めます。廃水処理のために原水基質や負荷変動を管理することは普
通はできませんし、原水側がいかに変動しても放流水質は守らなければならないという
宿命を負っているからです。

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7-6、UASB、EGSBの運転管理について

 UASB、EGSBの運転管理のポイントがコンベンショナルなメタン発酵の運転管理と
どこが違うかと言われれば、「何も変わらない」と言って、差し支えないと思います。

 ただ一層厳密に管理していただかなければならないとはいえるでしょう。従来のコン
ベンショナルなメタン発酵では処理できなかった廃水が対象だったり、そうでなくても従
来の5ないし10倍の負荷で処理するわけですから。

 特に栄養塩のことは重要だと思います。メタン菌は好気性菌に比べ圧倒的に種類が
少ないといいましたが、グラニュールを形成する菌はもっと限定されます。もし環境が悪
くなって、Methanosaeta  が失活したらそれに代わる菌はありません。グラニュール形
成がなければ、汚泥濃度が維持できず、あの高負荷もあり得ません。

 その意味で、今まで何とか行けていたからと言って、栄養塩のことを軽視するのは危
険です。微量無機塩などについて言えば、最初に殖種された菌がよければ、半年や1
年は問題は顕在化しないかもしれません。しかし問題が起きてから、無機塩を添加して
も元の活性に戻るにはまた同じくらいの時間がかかると思います。グラニュール型メタン
発酵では一過性のコンベンショナルなメタン発酵に比べ、はるかに汚泥(メタン菌)の入
れ替わり時間が長いからです。

 この項の冒頭でも述べたことですが、メタン菌が簡単な操作であのような形(きれい
なゴマ粒状)になることは今でも不思議の感を禁じえません。理屈を理解すればその違
和感は多少減りますが、かなり条件が整わないと起きないことという理解は必要と思い
ます。
                                              以 上
                                   
「メタン発酵(嫌気性発酵)・管理の要点、ポイント、コツ等」は
 出納正彬が担当しまし
た。

 


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