水質管理の現場は悩んでいる


1、現場訪問時のパターン

最近、私どもが工場を訪問した時に、お客様の反応には一つのパターンがありま
す。
環境管理の責任者の方は、「水処理は全然問題ありません。製造量も落ちている
し、水量、水質も計画時よりはるかに低いし。昔に比べれば管理基準なんかも整理
できていますから。あえて言えば、画期的な省エネ機器とか、汚泥減容の技術はな
いですかね?」と言うようなお話になります。

 もちろんそのとおりなのだろうと最近の省エネ機器や汚泥減容技術のお話をして
「せっかくお邪魔したのだから、排水処理設備を見せてもらえませんか。」とお願い
すると、大概快く現場を見せてもらえます。

 そこでは現場の担当者の方が案内してくれます。こちらから、ちょっと見ではわか
らないことなど質問して、確かに問題はなさそうだし、時間も経過しているし、これ以
上ご迷惑をかけるわけにもいかない、そろそろ退出しなければ、と思う頃、
「ちょっと
質問していいですか?」と言うように切り出されて、今ちょっと抱えておられる問題
や、疑問について聞かれます。そのような質問は大概その場で答えてすむような問
題です。


  説明し、ご納得いただいて、その場を辞そうとすると「もうひとつ教えてください」と
次の質問を受けるようなことがあります。もちろんお安いご用ですから、お答えして
いると、現場の人の様子ががらっと変わってきます。それまで、突然の訪問者を案
内するように言われて、やや迷惑気味な様子であったのが、目が輝いてきて、次々
に質問を受けるというようなことがよくあります。


  ほんとに退出する時になって「すみません。社内にはあまり相談できる人もいなく
て。」と言われるので、「いいですよ。いつでも気軽に、電話ででも、メールででも聞
いてください。」と言って帰ります。

 ですがその後、その担当者の方から相談の電話やメールが来たことはありませ
ん。当然だと思います。社内の問題点やデータを部外者に公開することになります
から、契約も交わしていない外部コンサルに一存で相談すると言う事は問題行動に
当ります。

私の方からも、同様理由で、「その後どうなりましたか」とは聞けません。


2、水質管理の現場は悩んでいる

 正直なことを申し上げますと、私自身も工場の上の人に言われたような状況が「そ
うだろうな」と納得しており、現場の方たちから受けた相談はたまたまのことで、共通
の問題というようには認識していませんでした。

ですが今回、水質汚濁防止法が改正されるきっかけになった事案や、それに対
する原因究明や対策等を調べるうちに、あちこちの現場で受けた相談がたまたまの
ことではなかったと確信するようになりました。どこの現場にも大なり小なり問題はあ
り、現場は相当悩んでおられるんだと。しかし社内に相談できるような経験豊富な人
は今はおられず、自分の責任と抱え込んでしまっておられるのかもしれない、だから
と言って、そういう問題意識が上手く上に伝わっていないなのだろうと。そんな状況
があるから、ちょっと考えられないような事故がおきているのだろうと。

日本の製造業のおかれている状況は誠に厳しく、少なくとも国内での生産量が伸
びているとは思えません。
ISO14001の導入など、環境管理に関する意識は高まっ
ているし、管理レベルは昔とは比較にならないくらい上がっている。まして、私どもの
お付き合いしている会社には、コンプライアンスを軽視しているような会社もありませ
ん。

 なぜ今、水質汚濁防止法を改正しなければならないような事態が生じているの
か、私自身も、ちょっと腑に落ちませんでした。しかし、ふっとここ数年あちこちの現
場で経験したことが、頭をよぎりました。あれらはたまたまのことではなく、どこの現
場にも共通した問題ではなかったのではないかと思えてきました。

管理レベルは精緻になっているが現場は相当手薄になっているのではないか?
車の両輪のはずの現場の対応力が落ちているのではないか?

親しい会社のトップの方に私の視点をぶつけてみると「将にその通り」「そのような
危機感を持っている」と答えられました。


3、管理レベルの向上だけでは限界がある

不幸にして事件を起こしてしまい、法的、社会的制裁に直面した、工場の責任者
の人にすれば、環境問題、コンプライアンス問題には十分すぎるくらい気を配ってき
た思いがある分、無念な思いがあるだろうとなと想像されます。

単純に決めつけるわけには行きませんが、管理レベルの向上だけでこのような
危険を回避しようと言うのは少し無理があると思います。車の両輪である現場力を
回復または
向上させることが絶対に必要であると確信するようになりました。

そうは言っても、単純に昔に戻れないのが日本の製造業の置かれている状況で
はないか。それなら、私どもがお手伝いすることがあるのではないか? そう考えて
排水処理の現場・技術支援サービス」を
提案させて頂きました。
提案の趣旨は
「現場の対応力をサポート」させて頂くことですが、水質管理に関し
てはどんなご相談でも承ります。
「水質管理に関する産業医」と契約するとお考え
頂いても結構です。


                                  エムズ環境技研株式会社
                                  技術士 出納正彬
   

 

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